できる制作者を増やし、品質を向上させる(マニュアルの執筆ルール)

「マニュアルを書く人がいない」と嘆く企業も多いと思います。

ちょっとしたマニュアルを書くのにスキルの高い人が必ず必要ということもありません。
どんなマニュアルも簡単な表現の組み合わせでできているのですが、いざ作るとなると「めんどくさい」「作り方を知らない」「時間がない」と尻込みする方も多いのかもしれません。

マニュアルを一度でも作ったことのある人がいるのであれば、その経験は活かせます。
マニュアル制作を属人的な物にするのではなく、一定の品質を保ったまま作業できる人を増やすためには、「誰もができる工程」を増やすことが有効です。

たとえば、同じ社内にAさん、Bさん、Cさんがいるとしましょう。

Aさんはマニュアル制作の熟練者、Bさん、Cさんは初心者だった場合、マニュアルを一定の品質で作成できるのはAさんしかいません。

しかし、Aさんのマニュアル作成スキルを「執筆ルール」や「ガイドライン」といったルールに置き換えてみると、BさんもCさんでも一定の品質を保ったマニュアルの作成ができます。

図 執筆ルールを作る効果

目的別にルール化していく

「執筆ルール」だけでなく、「用語集」や「図版作成ルール」など、目的別に基準化されているものがあります。

大企業や大きな組織では「用語集」が独自にまとめられていたり、すでに辞書ツールとして販売されている物もあります。

「図版作成ルール」はイラストを描くルールを決めたもので、具体的には線の太さや色の使い方などを規定した物です。
マニュアル制作の難易度を下げ、作業人口を増やしつつ、品質向上を目指すことができます。

「図版作成ルール」にのっとって作られたイラストは、全体を通して統一感があり、マニュアル向けに使うイラストとして一定の品質を保ちやすくなります。

翻訳時に絶大な効果が期待される「用語集」

マニュアルを翻訳する場合、たとえば日本語から英語に翻訳する時は、翻訳する単語が揃っていると成果物の表現が揃いやすくなります。

Trados(トラドス)などの翻訳支援ツールでも、「用語集」の延長である「翻訳メモリ」を利用してデータベースを作成します。

翻訳時に表現が統一されていることで最も期待される効果は、翻訳コストです。

まったく異なる文章を翻訳するのに比べると、同じ文章を同じように表現することは当然、コスト安となります。

一冊の、単一言語のマニュアルを作るのではコストの影響は出てきにくいですが、複数冊子の多言語に翻訳されるマニュアルであれば、用語の統一は必須とも言えます。

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