情報親方の泣く子もわかる取扱説明書作成方法 取扱説明書(顧客向け製品・サービスのマニュアル)作成のポイント
マニュアル制作の成否を分ける、重要な段階と6つのポイント
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「業務の標準化」や「品質管理」を目指してマニュアルを制作しようと意気込んだものの、何からやればいいのかわからず手が止まってしまった、思うように進まずに断念してしまった、などという経験がないだろうか。
組織内でマニュアルを制作する場合の多くは、技術やセールスの部門の人が作っていることだろう。マニュアルを作るのは、製品やサービスのことをよく知っている人が書くのが一番品質の高いものができる、というのは疑いがない。
しかし、現実には担当者が多忙であったり、マニュアル制作のスキルが不足していたり、予定通りにすすまないこともある。
また、「マニュアルを作るのは簡単だ」と最初は思っていたものの、実際に作るとスケジュール通りにすすまず、挫折することさえある。
今回は、マニュアル制作のフローを考えながら、どうすれば解決できるのか情報親方に聞いてみよう。
マニュアル制作で、失敗しやすい進め方
まずは、マニュアル制作の初心者にありがちな失敗例を見てみよう。
ダメな例(1):いきなり書き出す
「マニュアルを作る」=「マニュアルを書く」ではない。
「マニュアルの設計」を行わずにいきなりマニュアルを書き出すと、全体が完成したときにバラバラの状態になることが想定され、手戻りが多くなる。
ダメな例(2):細かな表現やレイアウトのツッコミから始まる
細かな表現やレイアウトは同一のマニュアル内で適宜統一されていれば品質に問題は無い。特にレイアウトは好みによるところが大きいので、趣向の違う複数人で検討していると、結論が出ずに時間ばかり過ぎることが多い。
細かな表現やレイアウトにこだわるよりは、目次構成や進め方に時間を割きたい。
ダメな例(3):作業をひとりで抱え込む
マニュアルを作れる人が組織内でたった一人しかいないからといって、作業を全てひとりで抱え込んでいないだろうか?
抱え込むことは制作スケジュール遅延の原因になることが多い。
特に、マニュアル制作の初心者は抱え込む傾向があるので、注意が必要だ。
ダメな例(4):マニュアルを作るための資料がない
マニュアル制作の担当者が望む資料が出てこないのは、大企業でもよくある。企画や営業、設計、デザイン、購買などに部門が分かれていても、製品やサービスの担当者は必ずいるはずだ。いつまでに資料が欲しいかをはっきり伝えて、情報収集するようにしよう。
マニュアルの制作フロー
制作環境や業界によって多少異なることはあるが、多くの場合に制作フローは次のようになる。
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実は、マニュアル制作は「マニュアルの設計」段階で成否がほぼ決まってしまう。
適切な設計の元に、「マニュアルの実制作」段階で原稿に間違いがなく、制作工数が適切であれば、マニュアルは制作できる。
マニュアルの成否を分ける6つの項目
マニュアルの設計や実制作のうち、次の項目はマニュアルの成否に大きく影響することが多いので、よく検討して作っていきたい。
1.制作予算の確保
2.進行スケジュールの制定
3.目次構成の検討(台割)
4.スキルのある作業者の確保
5.コンセプト、執筆ルールの検討
6.チェック体制の整備
(各項目は後日解説予定)
マニュアル制作というのは複数の職能が必要で、ひとりで制作作業をこなすのは大変だ。制作を体験した人にしか大変さをわかってもらえないことが多いが、上手く周囲の人を巻き込んだり説得したりして、上手にマニュアル制作を進めたいものだ。